クラウド会計とは?
目次
クラウド会計とは?
クラウド会計はクラウドサービスの一種であり、ネットワーク環境があれば利用できる会計システムのことを意味します。
従来は会計ソフトをパソコン等の端末にインストールをして利用することが主流でした。
クラウド会計ではソフトのインストールを行わず、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピューター(サーバー)が提供するサービスを、ネットワーク経由で手元の端末で利用します。
クラウド(クラウド・コンピューティング)は、コンピューターの利用形態のひとつで、クラウドの形態で提供されるサービスを「クラウドサービス」と言います。クラウドサービスの代表的な例はWebメールです。
多くの会社ではメールサーバーを自社内に持っていたり、レンタルサーバーを利用しており、メールを受送信・閲覧するために、パソコンにインストールしてあるメールソフトを使っています。
Webメールではメールソフトをインストールする必要がありません。ネットワーク環境があり、「Microsoft Edge」や「Chrome」などのブラウザーがあればサービスを利用できます。
「クラウド=雲」であり、地上から雲(クラウド)の中にあるコンピューターを利用しているようなイメージです。
クラウド会計のメリット、デメリット
クラウド会計の特徴やメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。
メリット
①ネット環境があればどこでも利用可能
②クラウドサーバーにデータが保存されるため、データ消失のリスクが少ない
③データの自動取り込みが可能
④特殊な業種や複雑な会計処理には対応していない場合がある
デメリット
①ネット環境が無ければ利用できない
②インストール型のソフトの方が処理速度は速い
③特殊な業種や複雑な会計処理には対応していない場合がある
以上のように、クラウド会計ソフトはネット環境が無ければ利用できないという点はありますが、近年はWi-Fiが提供されているカフェ等も多くありますので、あまり問題にはならないように思います。
ノートPCやタブレットさえあれば隙間時間を利用して、タイムリーに会計データを確認したり処理をすることも可能です。
インストール型の会計ソフトだと毎年新しいバージョンを購入しなくては最新バージョンが利用できませんが、クラウド会計ソフトは定期的にアップデートされており、常に最新版が利用可能なことに加えて、給与ソフトや請求書ソフトといった関連サービスもクラウド会計サービスのサブスクリプションの範囲内で利用可能なことも多いので、料金もリーズナブルでお勧めです。
クラウド会計ソフトの種類・違い
クラウド会計ソフトには、いくつか種類がありますが、主要はものは以下の3社となります。
Money Forward(マネーフォワード)
Money Forwardクラウド確定申告(個人事業主)、Money Forwardクラウド会計(法人)
freee(フリー)
freee会計(個人事業主・法人)
弥生会計
弥生会計オンライン(法人)、やよいの白色申告オンライン(個人事業主)、やよいの青色申告オンライン(個人事業主)
主要は上記の大手3社ですが、大きな違いがあります。
その違いは、Money Forward(マネーフォワード)とfreee(フリー)は会計ソフト業界においては後発のベンダーであり、クラウドサービスしか提供していません。
一方、弥生会計は会計ソフト業界では既にインストール型のソフトメーカーとしてトップクラスのシェアを誇っていたところにクラウドサービスの提供を開始したという経緯があります。
Money Forward(マネーフォワード)とfreee(フリー)が2013年にサービスを開始しているのに対し、弥生会計は2014年にオンラインサービスの提供を開始しています。
弥生会計は会計ソフト業界においては先発のメーカーですが、クラウド会計ソフトに関しては後発のベンダーということになります。
Money Forward(マネーフォワード)とfreee(フリー)はインストール型のソフトを開発していないため、クラウドサービスの開発のみに注力しており、その点で他社のクラウド会計ソフトよりもアップデートも早く、機能面で優れているという印象があります。
クラウド会計ソフトの便利な使い方
①預金口座はネットバンキングと連携して自動仕訳
クラウド会計ソフトと金融機関のネットバンキングデータを連携すれば、入力がとても省力化できます。
「日付」、「摘要(通帳の記帳内容)」、「金額」が自動で入力されますので、後は勘定科目を選択するだけでほぼ入力が完了します。
AIによる科目推測の機能もありますし、一度選択した勘定科目は自動仕訳ルールに登録され、仕訳ルールが学習されていきます。
②クレジットカードも連携
クラウド会計ソフトは金融機関のネットバンキングデータと同様に、クレジットカードの明細データも連携することができます。
こちらも「日付」、「摘要(利用店舗名等)」、「金額」は自動で入力されますので、後は勘定科目を選択するだけでほぼ入力が完了します。
摘要欄に利用店舗名しか表示されませんので、何を購入したのか等の追加での入力は必要となります。
③現金経費はアプリで登録
現金支払いの経費は自動登録することはできませんが、スマートフォンのアプリにて領収書を撮影・登録することでクラウド会計ソフトへ入力することが可能です。
現金払いの領収書は貯まりがちですが、ちょっとした空き時間に撮影してデータ化しておけば、会計入力もタイムリーに行うことができます。
④給与は給与サービスと連携
給与もクラウド会計ソフトと同シリーズの給与サービスを利用すれば、「給与サービス」→「クラウド会計」とデータを連携させ、簡単に仕訳を登録することができます。
⑤売上も請求書ソフトと連携
売上もクラウド会計ソフトと同シリーズの請求書サービスを利用すれば、「請求書サービス」→「クラウド会計」とデータを連携させ、簡単に仕訳を登録することができます。
⑥エアレジや全東信のビジネスアカウントも連携
入金時にカード手数料が控除されますが、グロスアップ処理も簡単に完了します。
これからはクラウド会計に強い税理士の時代
クラウド会計に強い税理士のメリットとして下記のようなものがあります。
①スピードが速い
クラウド会計を使いこなしているので、従来型のソフトを利用している税理士よりも処理速度が格段に速く、試算表も短期間で可能なことが多いです。
また、ITリテラシーも高いのでチャット等のコミュニケーションツールを用いてレスポンスも早い傾向があります。
②会計業務以外にも対応可能なことが多い
サービス間の連携のため、クラウド会計ソフト以外の給与ソフトや請求書ソフトも使いこなしていることが多く、バックオフィス業務の効率化にもアドバイスできることが多いです。
③料金がリーズナブル
従来型の税理士であれば、パートさん等のマンパワーで入力を行い、その労力も転嫁した価格設定となりがちですが、クラウド会計に強い税理士の場合はツールによる省力化ですので、リーズナブルな料金設定の事務所が多い印象です。
④資料のやり取りが楽
クラウド会計に強い税理士の場合、金融機関データは会計ソフトと連携しており、クラウドサービスの請求書ソフトや給与ソフトを使っていればわざわざ資料を送らなくても税理士とデータを共有することができるため、資料をやり取りする回数が少なくなり、手間が減らせます。